18 花氈 第21号 より

■正倉院宝物とデザインについて
正倉院宝物は一度に成立したのではなく、何段階かに分かれて成立しており、成立過程も皇室からの献上品、東大寺独自の収蔵品、皇室以外からの献上品と様々である。
もっとも根幹をなすものは、聖武天皇の七七忌に光明皇后が天皇遺愛の品々ならびに皇后に縁のあるものを東大寺大仏に献上したものである。その後も若干の宝物が光明皇后から東大寺に都合五度にわたって献上された宝物は正倉院正倉の北倉に納められ、今日に伝えられている。
光明皇后が五度にわたって東大寺大仏に献上した時に副えられていた献物帳には、①国家珍宝帳 ②種々薬帳 ③屏風花氈等帳 ④大小王真跡帳 ⑤藤原公真跡屏風帳がある。「国家珍宝帳」とは正式に「東大寺献物帳」と呼ばれるべきものであるが、この献物帳の冒頭に「太上天皇の奉為に国家の珍宝を捨して東大寺に入るる願文」との文言による。
中倉、南倉の宝物には東大寺の千手堂や東小塔などに保管されていた宝物や元々東大寺に保管されていたもの、儀式に使用されていた宝物、献上物を入れた箱類がある。
これらの宝物に使われている文様を再現したのが天平文様シリーズである。

18 花氈 第21号(かせん)(北倉150-1)
内区に四弁花を置き、外区に八つの花弁を三重に重ねた花文を中心にして、その周りを絡み合った蔓草で囲み、内側に八個の側面花を配し、外側に八個の側面花と、花弁が二重になっている側面花の周りを十三枚の花弁が取り巻いている八個の丸形の側面花を配す。その外に側面花を覗かせ、間地を多くの葉文で埋めた大きな複合唐花を中央に二つ並べ、間地には側葉花や葉文や丸形の側面花など唐花を構成しているのと同様の文様と葡萄の房のような形三角形に組み合わせた文様を配している。また、花氈の四周には花形を覗かせた波状線を回らせている。藍地に黄・紅・薄紅・緑・深緑・薄緑・紺・縹などの暈繝彩色で、正倉院に残る三十数枚の花氈中最も豪華のものである。
長さ276cm 幅約139.5cm 大唐花文径約109cm
日経新聞社「正倉院の文様」より引用
18 花氈 第21号 より
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