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正倉院展ってどんなイベント?奈良国立博物館近くの活版工房 丹がご紹介します

こんにちは、活版工房 丹は近鉄奈良駅からすぐの場所で、地元の奈良で生まれる味わいのある印刷物を販売しています。遣隋使、遣唐使によって伝わる宝物保管の正倉院、その宝物の模様、大和の伝統行事、古墳文化など奈良ではの文化をデザインし、進物品、贈答品に使える紙製品として発信していくことをミッションとする専門店です。

当店から歩いて12分ほどの奈良国立博物館では、毎年秋に「正倉院展(しょうそういんてん)」が開催されます。戦後1946年の第1回以来、東京開催の3回を除いて毎年続き、2025年で第77回を迎える日本でも古くから続く伝統的な展覧会のひとつです。奈良時代にわが国を治めた聖武天皇のご遺愛の品々を中心として、1300年前の工芸美術を間近に感じられる貴重な機会。鑑賞後にはぜひ当店へお立ち寄りいただき”もうひとつの楽しみ方”をご提案したく、本記事を書きました。

正倉院展とは

正倉院展は、東大寺大仏殿北西に立つ校倉造の宝庫「正倉院」の宝物点検時期に合わせ、奈良国立博物館で一般公開を行う特別展です。1946年10月に初開催され、敗戦直後の人々を文化の力で勇気づけたのが始まりと伝えられています。宝物は全9,000点以上ありますが、保存や研究成果を踏まえて毎年その中から60点ほどが厳選されるため、出陳アイテムは常に入れ替わります。

開催期間について

正倉院展会期は、例年10月最終週から11月中旬の約16日間。朝8時開館・金土日祝は20時まで延長されるのが近年の定番で、事前の日時指定券をオンラインで購入しないと入館できません。

はじめて観覧するときのチェックポイント

  • 日時指定券を確保
    毎年9月上旬~中旬にチケット販売開始。午前枠は早々に完売します。
  • 会期と開館時間
    10月下旬~11月中旬/8:00–18:00(金土日祝は20:00)。入館は閉館60分前まで。
  • 観覧料の目安
    一般2,000円・高大生1,500円・小中生500円。年ごとに細部が変わるため要確認。
  • 展示構成
    ①聖武天皇のご遺愛品、②東大寺での法事にまつわる品々、③造東大寺司に関連する品々。毎年テーマ性があり、リピーターでも新鮮。
  • 服装と荷物
    展示室は冷房が効いています。軽い羽織りと両手が空くバッグが便利(ロッカーあり)。

天平文様と宝物の魅力

正倉院宝物の真骨頂は、奈良時代の国際色豊かな天平文様です。以下では、天平文様の代表格として知られる五つのモチーフを紹介します。どれも正倉院宝物に頻出し、奈良時代に花開いた国際色豊かなデザイン感覚を伝えてくれます。

  • 宝相華文(ほうそうげもん)

想像上の大輪を中心に、蓮・牡丹・芍薬など現実の花の要素をミックスして唐草で包んだ仏教系吉祥文様です。重層的な花弁と曲線が織りなす豪華さが特徴で、唐から日本へ伝わり正倉院裂や鏡の背面などに広く用いられました。多色・多層構成により立体感が強調され、富貴や繁栄を象徴します。

  • 花喰鳥文(はなくいどりもん)

鳥が花枝や瓔珞をくわえて舞うモチーフで、西アジア〜唐を経て伝来しました。鳥種も宝相華も固定されず、鸚鵡・鳳凰・鴛鴦などとさまざまな花が自由に組み合わされるため、バリエーションが非常に豊富です。吉兆を運ぶ図象として布や漆工に好まれ、のちに日本化して松喰鶴などにも展開しました。

  • 連珠文(れんじゅもん)

小珠を鎖状に連ねた幾何学帯で、帯状なら珠文帯、円形を取り巻けば連珠円文と呼ばれます。起源はササン朝ペルシアの建築装飾で、シルクロード交易を通じて奈良時代の織物・鏡・金工に定着しました。細かな連なりが区画線や縁取りとして使いやすく、他の文様を引き立てるフレーム役を担います。

  • 斜格子小花文(しゃこうしこばなもん)

四弁・六弁の小花を斜め格子に配置した繰り返しパターンで、紫檀木画槽琵琶の背板などに見られます。規則正しい格子が幾何学的リズムを生みつつ、小花の柔らかなモチーフが加わることで端正さと可憐さを両立します。花と格子の大きさ・間隔を変えるだけで印象ががらりと変わる応用性の高い図案です。

  • 八弁花唐草文(はちべんかからくさもん)

八弁花を中心に渦巻く唐草を組み合わせた、銀平脱鏡箱の蓋を飾る代表的意匠です。花芯から伸びる曲線が八方向に広がり、周囲には孔雀や雲文が巡ることもあります。黒漆地や金銀の輝きとのコントラストが際立ち、静かな華麗さを演出するのが特徴です。

鑑賞後は活版工房 丹へ

奈良国立博物館から西へ歩いて12分ほど、若草山を遠望しながら近鉄奈良駅に至る散策路の途中に当店はあります。正倉院宝物や天平模様をモチーフにした紙製品をお土産に選び、余韻をお楽しみいただけます。


店舗へのアクセスはこちら

また、店舗では活版印刷名刺のオーダーも承っております。活版印刷名刺にワンポイントとして天平模様を入れることも可能です。印刷面にうっすら凹みが出る活版ならではの手触りが、宝物の立体的な装飾を指先で思い出させてくれるはずです。

天平模様をあしらった名刺の事例はこちら

店舗では紙サンプルや、他の事例も見ることができますので、実際に手触りや色を確認し、発注することができます。

皆さまの奈良旅が、1300年前の美と現代のクラフトをつなぐひとときになりますように――それでは、活版印刷工房 丹でお会いできる日を楽しみにしています。

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