お知らせ・ブログ

『百万塔陀羅尼経』

2026.03.06

■『百万塔陀羅尼経』

現存する世界で最古の印刷物『陀羅尼経』が、法隆寺の百万小塔の相輪の中に入っていることで有名であります。
一般的には三重の小塔ですが、一万に一つ七重の小塔を作ったのが一万節塔であり、十万に一つの十三重の小塔が十万節塔です。
奈良時代、天平宝字8年(764年)ごろ称徳天皇(孝謙天皇)が国家安泰を祈願して作らせたものです。
100万基の小さな木製の塔(百万塔)を作りその中に 陀羅尼(短いお経)を印刷した紙 を納め全国の寺院に奉納しました。
この「陀羅尼」が 木版印刷 で作られており、これが世界最古級の印刷物とされます。
藤原仲麻呂の乱(恵美押勝の乱)を鎮めた後、国家安泰・反乱平定の功徳を祈るために百万塔と陀羅尼を作らせたと考えられています。
100万基すべてが寺院に奉納されたわけではないという点です。
一部は寺院に奉納
一部は宮中や役所で保管
一部は流通の途中で失われた可能性
現存しているのは数万基程度と推定され、そのほとんどが法隆寺に現存しています。その理由は色々ですが、法隆寺は火災・戦乱の被害が少なかったということです。
法隆寺の第123世管長佐伯定胤(1827–1910)執事・寺務職:赤坂定朝(大修理の実務を担当)の時に明治の大修理が行われ、寄付を募りました。寄付の返礼品として陀羅尼経の入った三重の小塔が礼状を付けて送られました。市中にこの小塔が存在するのはそのための様です。

★一万節塔の写真(美術院が試作した写しです)

■正倉院展のはじまり「奈良博覧会」

2026.02.15

近鉄奈良駅から北東に広がる一帯は北町界隈と呼ばれ、活版工房丹のアンテナショップがその入り口に在り、奈良女子大学、般若寺、奈良豆比古神社、正倉院、二月堂、大仏殿もその一角に在ります。
明治8(1875)年の4~6月、ついに東大寺大仏殿・回廊で第一次奈良博覧会が開催されます。
その際の出品物が、第1~14号の「奈良博覧会物品目録」と第1~7号の「会場内第三区大仏殿内正倉院宝庫御物陳列目録」に収載されています。(半紙サイズに木版と活字で活版印刷されています)
これを見ると、県内の主だった大社寺から、今日の国宝になっているものから、その後の行方が追えないものまで多数の宝物が、大仏殿に勢ぞろいしていることがわかります。
正倉院宝物が庶民に一般公開されたのは、史上初めてのことです。
現在の正倉院展は昭和21(1946)年に開始されたものですが、この奈良博覧会こそ、正倉院展の元祖といっても過言ではありません。
現在の正倉院展ではガラス越しにしか見れない宝物が、東大寺の回廊に並べられ、手で触ることも可能でした。

毎年秋に開催される正倉院展には正倉院宝物の中から初めての出品物から何度も出品されてきたものまで色々です。活版工房ではその中から3~4点選んで使われている模様を活版印刷用にデザインし、ハガキに仕上げております。3~4色刷り、箔押し加工、小口染め、等の技法を使っております。

<逸話>奈良時代に東大寺で写経された「賢愚経」の断簡、大聖武が「二行ちょうだい」「はいはい、チョキチョキ」なんてやり取りで売られたそうです。

★奈良博覧会の目録(会場第3区大仏殿内正倉院宝庫御物陳列目録 第1号)

★目録用の木製凸版(東大寺図書館に保存されています)