06 銅薫炉 より

■正倉院宝物とデザインについて
正倉院宝物は一度に成立したのではなく、何段階かに分かれて成立しており、成立過程も皇室からの献上品、東大寺独自の収蔵品、皇室以外からの献上品と様々である。
もっとも根幹をなすものは、聖武天皇の七七忌に光明皇后が天皇遺愛の品々ならびに皇后に縁のあるものを東大寺大仏に献上したものである。その後も若干の宝物が光明皇后から東大寺に都合五度にわたって献上された宝物は正倉院正倉の北倉に納められ、今日に伝えられている。
光明皇后が五度にわたって東大寺大仏に献上した時に副えられていた献物帳には、①国家珍宝帳 ②種々薬帳 ③屏風花氈等帳 ④大小王真跡帳 ⑤藤原公真跡屏風帳がある。「国家珍宝帳」とは正式に「東大寺献物帳」と呼ばれるべきものであるが、この献物帳の冒頭に「太上天皇の奉為に国家の珍宝を捨して東大寺に入るる願文」との文言による。
中倉、南倉の宝物には東大寺の千手堂や東小塔などに保管されていた宝物や元々東大寺に保管されていたもの、儀式に使用されていた宝物、献上物を入れた箱類がある。
これらの宝物に使われている文様を再現したのが天平文様シリーズである。

07 銅薫炉(どうのくんろ)(中倉67)
銅製、球形の香炉。球形の製作法、鉄製火皿の装着法は槌起法によって造、それぞれ蓋・身とする。蓋・身はわずかに回して着脱しえる。素材は赤褐色の銅で、上下の球形の固定には二個の差し込み式止め金を用いる。透彫りによる文様の主文は円形に構成され、それが球体の全表面上に十二個、互いに接して表される。円文内には連珠を回らし、唐草文様ふうに五弁花形が作られる。この花形は、天頂と下端とが同形で、そのほかは少し違う。しかしどちらも五弁である。また主文に挟まれた空所に三よう形画があるが、これに類する文様も正倉院宝物中には他に例がない。この三葉の中心は、この球に内接する正十二面体の頂点にあたる。円文の中心はこの球体に内接する正十二面体の頂点にあたる。この香炉の文様は、正倉院の文様の中でも特異な存在である。
径24.2cm 日経新聞社「正倉院の文様」より引用

商品説明

仕様

06 銅薫炉 より
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