91 花氈 より

■正倉院宝物とデザインについて
正倉院宝物は一度に成立したのではなく、何段階かに分かれて成立しており、成立過程も皇室からの献上品、東大寺独自の収蔵品、皇室以外からの献上品と様々である。
もっとも根幹をなすものは、聖武天皇の七七忌に光明皇后が天皇遺愛の品々ならびに皇后に縁のあるものを東大寺大仏に献上したものである。その後も若干の宝物が光明皇后から東大寺に都合五度にわたって献上された宝物は正倉院正倉の北倉に納められ、今日に伝えられている。
光明皇后が五度にわたって東大寺大仏に献上した時に副えられていた献物帳には、①国家珍宝帳 ②種々薬帳 ③屏風花氈等帳 ④大小王真跡帳 ⑤藤原公真跡屏風帳がある。「国家珍宝帳」とは正式に「東大寺献物帳」と呼ばれるべきものであるが、この献物帳の冒頭に「太上天皇の奉為に国家の珍宝を捨して東大寺に入るる願文」との文言による。
中倉、南倉の宝物には東大寺の千手堂や東小塔などに保管されていた宝物や元々東大寺に保管されていたもの、儀式に使用されていた宝物、献上物を入れた箱類がある。
これらの宝物に使われている文様を再現したのが天平文様シリーズである。

花氈(かせん)(北倉150-6)
薄茶地の毛氈に、花弁が紅、花心が紅系の暈繝の八弁花を中心にして、その周りを紺の側葉と茎の先に浅紅の丸形で表現された蕾と紅、浅紅の花弁に縹の花心の五弁花を付けた花葉文の集団で何層にも囲み最外層には五弁花と交互に紺に浅紅の側面花を並べている大きい団文を中央に二つ並べて置き、四隅に中央の団文を構成しているのと同様の花葉文を配している。花氈の真中の位置には両側縁沿って団文と団文の間地に浅紅・浅縹・紺・紅などの暈繝彩色の三連の三岳文を置き、その上に花葉文を並べている。その他の間地には草葉を散らし、新緑で花氈の縁取りをしている。
長さ243cm 幅121cm 団文径約114cmcn 日経新聞社「正倉院の文様」より引用

商品説明

仕様

91 花氈 より
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