38 紫壇木画槽琵琶 第2号 より

■正倉院宝物とデザインについて
正倉院宝物は一度に成立したのではなく、何段階かに分かれて成立しており、成立過程も皇室からの献上品、東大寺独自の収蔵品、皇室以外からの献上品と様々である。
もっとも根幹をなすものは、聖武天皇の七七忌に光明皇后が天皇遺愛の品々ならびに皇后に縁のあるものを東大寺大仏に献上したものである。その後も若干の宝物が光明皇后から東大寺に都合五度にわたって献上された宝物は正倉院正倉の北倉に納められ、今日に伝えられている。
光明皇后が五度にわたって東大寺大仏に献上した時に副えられていた献物帳には、①国家珍宝帳 ②種々薬帳 ③屏風花氈等帳 ④大小王真跡帳 ⑤藤原公真跡屏風帳がある。「国家珍宝帳」とは正式に「東大寺献物帳」と呼ばれるべきものであるが、この献物帳の冒頭に「太上天皇の奉為に国家の珍宝を捨して東大寺に入るる願文」との文言による。
中倉、南倉の宝物には東大寺の千手堂や東小塔などに保管されていた宝物や元々東大寺に保管されていたもの、儀式に使用されていた宝物、献上物を入れた箱類がある。
これらの宝物に使われている文様を再現したのが天平文様シリーズである。

38 紫壇木画槽琵琶 第2号(したんもくがそうのびわ)(南倉101)
正倉院の四弦琵琶で紫檀の槽を木画で飾るのは、二面を数える。
木画は黄楊木の絃門、海老尾、紫檀の転手にもあり、象牙・鹿角・黒檀・黄楊木・竹などを材料とする。材料と装飾技法の点では、他の一面もこれとほとんど同じであるが、ここでは木画による絵画的な文様が表されている点に著しい特徴が見られる。材料の特質が巧みに生かされ、宝相華の花弁や鴛鴦の羽根の象牙、鴛鴦の銜えた葉の緑染め鹿角など、それぞれが対象を巧みに表すと共に、見事な装飾効果をあげている。鴛鴦の銜える花枝の茎・蔓・中央の宝相華を繋ぐ円点は銀らしき金属によるもので、木画ではこのような例は少ない。木画による装飾の絵画的なもののうち、最も華麗な作例にあげられる。
全長98.7cm
日経新聞社「正倉院の文様」より引用

商品説明


仕様
38 紫壇木画槽琵琶 第2号 より
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